年老いた母が圧迫骨折で入院した。医者の見立ては、骨がくっつくまで2,3ヶ月はかかるし、その後はリハビリのできる施設への入所が望ましいと。幸いにも父の残した預金もあり費用には困らなかった。しかし、歳も歳、90近くなっての病院住まい、毎日のリハビリでは気も滅入るだろう。心配なのは環境の変化で一気にぼけてしまうことだ。少しずつ物忘れがひどくなっている。

母の代わりに必要な現金は銀行から降ろしてこれているが、まとまったお金をおろす段になって、本人に来いと言われるかもしれない。昨今の特殊詐欺事件対応で、金融機関のチェックも厳しくなっているから、本人確認は徹底されることだろう。リハビリ施設への入院や、月々の掛かりの支払に相当なお金を払い戻さなくてはならないだろう。いちいち本人を連れてくるわけにもいかない。

そこで、家族信託契約を結ぶことにした。母を委託者であり受益者とし、私を受託者にした信託契約書を作成し、それぞれ記名捺印して所持することにした。これで、母に信託された特定の金融資産、○○銀行の普通預金については、自分が自由に払い戻すことができるようになった。

あまり想像したくもないが、このまま母が認知症になったとしても、掛かりの費用に困ることはないだろう。よかった。